Interview「アンドラ・モンターニュ」
オーナーシェフ 塩田光治さん

豊富な天然水は宝のようなもの。 来てから知った魅力的な食材もありました。

interview_01_01


オーベルジュ・アンドラ・モンターニュ オーナーシェフ 塩田光治さん
2004年にIターン移住
東京→南魚沼


 

関越自動車道の塩沢石打インターから10分ほどのMt.グランビュースキー場の近くに、「オーベルジュ・アンドラ・モンターニュ」がオープンしたのは12年前。東京・渋谷で行列ができるレストランを切り盛りしていたシェフが、この地にあった馴染みの民宿の廃業を機に移住してきました。

 

学生時代から南魚沼のスキー場でアルバイト

高校生の時に、ここのスキー場(現在のMt.グランビュースキー場)にバイトに来ていたんです。当時、どこもスキー場が混んで行列しているような時代なのに、ここはあまりにも空いていて(笑)、「こんなにたくさん滑れるなんて嬉しい!」と、その後、30年くらい毎年来るようになりました。

泊まる時はいつも一軒の民宿だったんですが、ある時電話で、その民宿が営業をやめるというんですよ。驚いて「ええ!? 僕はそこに休憩に行くのが唯一の楽しみなんだから辞めないで!」と言って電話を切った後に「そうか、僕があの場所で、やりたいことをやればいいんだ」と思いつきました。

当時は渋谷で、兄が経営している「アンドラ」というフレンチでシェフをしていたんですが、おかげさまでかなり忙しくて。僕は「変態」と呼ばれるくらい変わったことをするので、ハマってくれるお客さんはハマるんですよ。そうすると足繁く通ってくれる方が多くて、なぜかみんな同じ日に来る(笑)。満席なのに外に列ができちゃったりして。

本当に毎日、たくさんお客様が来て下さって、喜んでもらえるのが嬉しくて、寝る暇も無いくらいがむしゃらに走っていたんですが、そのうち物が二重に見えたり立ち上がれなくなったりと体を壊しかけて、「このまんま走り続けたらたぶん突然死ぬんだろうな」と思っていたんです。

なんとか忙しさを変えなきゃいけないと、東京脱出は考えていたころだったんです。

渋谷の店では、満席で次々にオーダーが目の前にずらっと並んで、優先順位もどんどん変わって。26席あって調理場3人、ホールスタッフ2人いたんですけど、間に合わないくらい忙しくかったんですよね。でも、ここに来たら、たぶん、もっとゆっくりと好きなことができる。「そうだ、これだ!」と思って。民宿だったここを譲り受けて改装して、移転してきたんです

interview_01_02
素材重視の自分流フレンチ

僕の作る料理は素材重視です。フレンチというより「俺んち」だなって言ってるくらい(笑)。

もともと僕はサラリーマンだったんですが、3年勤めて「この先、ずっとここでやっていくのは嫌だな」と思いはじめていたんです。

そのころ、兄が渋谷で「ルッズ・グルッズ」というパイやキッシュ専門のお店をやっていたんです。まさにこの場所が民宿だった時に、ここに来て、お酒呑んで空に向かって「神様ぼくはこれからどうしたらいいですか」みたいなこと言ってたら(笑)、その兄から電話かかってきて、お店が忙しいから「次が決まるまでの間だけでもいいから手伝ってくれ」と言われたんです。

皿洗いをすればいいということだったんで行ったら、シェフが「皿だけ洗ってればいいって訳じゃないんだ。お前が社長の弟だろうと関係ない。ここにいる限りは役に立て」といわれて、やらされたことが包丁を研ぐこととパイ生地を練ること。それを見てシェフが「初めてでこんなにできるやつは見たことない」というくらい、すごくよく出来たらしくて。自分で「もしかしたら僕は天才かもしれない。これ面白いからやってみようかな」って勘違いして(笑)、料理人にグググッって気持ちが傾いていきましたね。

それから近くに「アンドラ」という2軒目の店が出て両方の下働きをしていたんですけど、料理人になって3年目に、アンドラのシェフが辞めたんです。代わりに有名ホテルの元料理長だった人に来てもらったら、その人が僕が作るクラシックで手のかかるデミグラスソースを舐めて、「こういう仕事は今のやつはできないんだよな」と言って、「これが作れるんだったら、金魚のふんはやめなさい。あなたが金魚にならなきゃだめだ」と言って突然いなくなっちゃったんですよ。明日のランチだってあるのにという時に。

兄が慌てて「どうするんだ」って言ってましたけど、「まあ材料はあるから何とか俺がやるよ」と言って、まずはその日のランチを終わらせました。その後、シェフを雇おうという兄に「僕にやらせてください。もしも1年間やって売上が下がったら誰か呼んでください」といってやらせてもらいました。

3年間、売上をキープして、その後は少しずつ上向いていきましたね。そうやってるうちにどんどん料理が面白くなっていって、素材に目覚めて、生産者に会いに行って。田んぼを見に行って畑を見に行って海を見に行って。ていうようなことになって今に至るという感じです。

ABOUT THE AUTHOR

Live from Minami-uonumaLMU編集部
東京から南魚沼市に移住したスタッフ3人で作っています。
東京時代は仕事ばかりで、昼も夜もわからぬ毎日を過ごしていましたが、南魚沼市に引っ越して生活が一変。
直売所で買った野菜で料理をし、温泉に通 い、休日は山に登ったり、スキーをしたり。
豊かな場所で暮らすだけで、心も生活も豊かになって、良い仕事ができるようになる……ような気がする今日この頃です
(移住12年めの素直な感想で す)。

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

Return Top