Interview「アンドラ・モンターニュ」
オーナーシェフ 塩田光治さん

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いまのところ来て後悔したことは何も無いですね。もう12年で「いまのところ」というのもなんですが。良かったということはいっぱいありますね。健康になりましたし。来なかったら知らなかったこと、出会わなかった人、いっぱいいたし、すごく来て良かったです。
人間関係にしても、根拠の無い自信というか安心感があったんですが、来てみてわかったんですけど、下町と同じなんですよ。

僕、出身が東京の上野なんですけど、子供のころとか親に空の醤油さしを渡されて「あんた、隣にお醤油借りておいで」って言われるわけですよ。それで「おばちゃん。醤油貸して」って言うと「はいはい」ってジャーっと入れてくれて。「貸して」とは言ってるけど「ちょうだい」ってことですからね。それで次の日、今度は逆の隣の人が「味噌貸してくれ」って来たり。そういうのが日常的に行われているエリアだったんです。

また下町ってすごく人を見ているんですよ。例えばちょっとチンピラのような人が歩いていたとして、僕らが小学校から帰ってくると、「おい、お前達、そっちに行くと変な人がいるから、あっちで遊びなさい」って声をかけてくれるおせっかいなおじさんがいるんですよ。親戚がうちに訪ねてきた時も、僕が家に帰る前に「みっちゃん、さっき○○おばさんが来てたぞ」って言われるんですよ。それぐらいのエリアだったんで。

ここも下町と同じで、いい意味でのおせっかい焼きがいっぱいいるんですよ(笑)。例えば知らない車がずっと留まっていると「あの車、お宅のお客さんですか?」って2日目には言いに来ますからね。「怪しい」ってことで。でもその異変に気がつくのが早いんで、犯罪を抑止する力も強いんですよ。

カミさんは割と人見知りですけど、最近は呼ばれなくてもひとりでお茶飲みに行くようになってますね。

実は3年前にここは火事で全焼したんです。地下と基礎しか残らなかった。前の引越の時の借金も残っていた状態だったから、東京に戻るのかという人もいたんですが、まったく迷いなく同じ場所に立て替えました。

その時に、いろんな人がお見舞いや義援金をくれて。発起人になってくれた人がいて、誰がいくらとか名前を言わないでお金をくれたんですよ。どう感謝していいかわかりませんよね。本当にそれはありがたいと思っています。

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こちらに来た当初はもちろん渋谷のころのお客さんがほとんどでしたけど、いまは半分以上が地元や新潟県の方。オーベルジュということで泊まらずに食事だけもできますけど、95%がお泊まりですね。ワインを飲んでそのまま泊まっていけるから。

年を取ってくると同じ作業が物理的に大変になってくるんですよ。だからこれから将来のことを考えると客数を減らしてやっていくのもいいかなと思っています。

本当に僕のわがままで営業していますね。料理はおまかせのコースだけですし、ワインもおまかせといわれると「コレ飲みなよ」って出しちゃう(笑)。そんなことができて、それでなんとか生きて行ければ僕はいまとっても幸せなので、時間もとれるしお金は本当にギリギリで赤字の時もあるんですけど。食べたいものを食べに行ったり行きたいところに行ったりガレージを建てたり芝生にしちゃったり。そういうやりたいことを「お金が出来てからやろう」とか「来年やろう」と思ったら、来年は死んじゃうかもしれないんですよ。だからだんだんせっかちになってきてて、それで「すぐ」したくなるんですよ。思いつきで生きていますね。


オーベルジュ・アンドラ・モンターニュ
住所/新潟県南魚沼市宮野下1191-1
電話/025-783-3237
1泊2食18000円(ツインルーム2名使用時)、食事のみは2日前までの要予約でランチ4,000円、ディナー8,000円(すべて税別)

http://www.andra.jp/ishiuchi/whatnew.html


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Live from Minami-uonumaLMU編集部
東京から南魚沼市に移住したスタッフ3人で作っています。
東京時代は仕事ばかりで、昼も夜もわからぬ毎日を過ごしていましたが、南魚沼市に引っ越して生活が一変。
直売所で買った野菜で料理をし、温泉に通 い、休日は山に登ったり、スキーをしたり。
豊かな場所で暮らすだけで、心も生活も豊かになって、良い仕事ができるようになる……ような気がする今日この頃です
(移住12年めの素直な感想で す)。

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