3月のにおい


昨日も朝から雪が舞って

春分の日の今日もみぞれまじりでした。

 

春になるとブル(ブルトーザー)が来て

早く田んぼ雪が溶けるように

雪をかいていってくれます。

まだまだ雪遊びが楽しめる3月。

土の匂いのまじる、この独特な春のにおいの中

ふわふわでも、かちかちでもない雪の上で遊ぶ

3月の昼さがり。

思い出そうとして頭の中で思い浮かべられる

子どもの顔や風景とか

思い出そうとして頭の中で思い出せる

子どもの笑い声や山の音と違って

においって後で思い出そうとしても

頭の中では思い出せない。

握った小さなこどもの手とか、

抱きしめた人の柔らかさとか

感覚もまた、いくら経験しても

後から頭の中で思い出すことが出来ません。

 

コーヒーの香りを知っていても

コーヒーの香りを頭の中では思い出せなくて

春のにおいは知っていても

夏に春の香りは思い出せなくて

知っているにおいでも

その時その香りに包まれて、また

ああ、これが3月の春の香りだなってなる。

 

赤ちゃんを抱っこして

ふにゃふにゃの柔らかさが腕の中に蘇る。

雪遊びで冷たくなったホッペをさわって

ぷりぷりの愛おしさが手のひらに蘇る。

 

毎日毎日さわっていても

毎日毎日くんくんしていても

いつかは頭の中では思い出せなくなる

かたちのない記憶。

大切な大切な記憶。

ABOUT THE AUTHOR

南雲亜美
湯沢町生まれ。六日町高等学校卒業後、東京の服飾の学校に進学、卒業後はアパレルの仕事に。10年の東京生活を経て帰郷。2009年から六日町でNATURAL and ORGANICをコンセプトにしたカフェを営業。2012年に息子が生まれ、八海山のあしもと、大自然のなか家族と暮らしています。

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